雪山の寒苦鳥
これは仏教で教えている物語である。
自己啓発を考えるに有意義なのでお話ししてみたいと思います。
遠い昔の物語です。
あるところに雪山がありました。
あるところといっても舞台はインドになるのですが、
日本でいうなら青森とか北海道のような寒いところですね。
そこに物語の主人公である鳥が住んでいました。
この鳥は遊ぶことが大好きなので一日中遊んでいるのでした。
この雪山の気候はお昼は比較的暖かいので過ごしやすいのですが、
夜はすこぶる冷えるのでとても屋外で眠ることはできません。
ところがこの鳥の毎日はこんな感じなのです。
お昼は暖かいので遊んで暮らしているのです。
そして日が落ちるころからだんだんと寒くなってきます。
そして夜中になると眠れないくらい寒くなるのです。
木の枝に摑まりながら、こう言います。
『寒い寒い、寒くて凍えるよ。』
ブルブル震えながら、
『とても寒い、寒いから眠ることも出来ない』
『明日は寒さを避けることができる巣を作ろう』
うつらうつらと眠いのを我慢しながら夜を明かすのです。
そして夜明けが来ます。
太陽の日が暖かい朝がやってきます。
体がぽかぽかと温もってくると、
あれほど強く心に思っていたことを忘れてしまうのです。
こんなに天気が良いんだから遊ばないともったいない。
こう言って一日中遊び回るのでした。
あっという間に日が暮れて夜がやってきました。
そして鳥はまた思うのです。
『寒い寒い、寒くて辛い』
『明日こそは巣を作るぞ』
『こんなに寒いのはもう嫌だ』
こんなことを一晩中思いながら夜が明けるのを
ひたすら待っているのです。
ところが太陽が顔を出すと、
あれほど寒くて辛かったことなど忘れてしまうのです。
今日遊んでも大丈夫、大丈夫。
遊ぶのは楽しい。
これは多くの人間が陥ってしまうことです。
明日こそやろう。
明日からやればいいんだ。
こうやって先延ばしにしていることがありませんか。
そしていつまでも目標が達成できないでいる。
今日しようと決めたことは、今やらなければいつやるのか。
自分が成長しようとすることはとんでもないことをやってのけることじゃないです。
毎日毎日、少しずつでも前進していくことが
大事なことなのです。