憂い
人間は憂えなければ人物ができない。
何の心配も無く平々凡々幸福に暮らしたのでは、
優という文字の真義からくる『優秀』とはいい難い。
憂患を体験し、悩み抜いてきて初めて、
人物も余裕も出来てくる。
安岡正篤氏
優秀の優という漢字は、ニンベンに憂いという字で出来ている。
人間は悩んでこそ成長があるし、他人への気遣いもできる。
自分ひとりで生きているわけじゃないと気が付くのです。
そこには他人への感謝の気持ちがあると思う。
おおよそ悩みの苦しんだ人のほうが、
そうでない人に比べてほとんどやさしい。
昔のことわざに苦労はかってでもしなさい、というものがあります。
しかし近年はお金儲け、特に楽してお金儲けということが流行っている。
通勤電車から逃れたい、会社に縛られない、自由な人生へのあこがれ。
それは甘美な誘惑であるが、そういうことを逃れてお金儲けしても、
やはり苦労の無い人生は薄っぺらいと考える。
そして他人の痛みがわからなくなってしまうような気がする。